赤ちゃんをおうちに迎える前に、お父さんお母さんが受けておいてほしい3つの検査
赤ちゃんが欲しいって思っている、今おなかに赤ちゃんがいてウキウキ、ドキドキしているカップル、またはもう赤ちゃんがおうちにいて子育て真っ最中のお父さん、お母さんにぜひ読んでほしいお話です。
誰しもが赤ちゃんに病気にかかってほしくないと思うことです。もちろん私もそう思っています。
どうしても病院というと病気になってから行くところというイメージがあると思います。僕も今まで病院で勤務していた時は病気の治療だけで精一杯でした。
しかし、以前から僕は何とか病気にならない医療を普及できないものかと思っていました。そこで、医院を開院してからは病気を治すだけではなくて予防やホームケアにも力を入れようと考えていました。
その一つは予防接種です。
そのほかに今回お話しする3つの病気をぜひ知ってください。
1、風しん
風しんに関してはこちらもご覧ください。
風しんウイルスへの感染によって起こるのが風しんです。主に、感染者からの飛沫などによってうつります。
2~3週間の潜伏期間を経て、発疹、発熱、リンパ節の腫れなどの症状が現れます。お子さんで重症化する例は稀ですが、脳炎、血小板減少性紫斑病、溶血性貧血などを合併することもあり、決して侮れません。
風しんと妊婦さん・赤ちゃんへの影響
妊娠初期に母体が風しんに感染してしまうと先天風しん症候群という、心臓、目、耳などに障害を持つ赤ちゃんが生まれます。
女性はもちろんですが、男性も家族や道や電車ですれ違う女性に知らぬ間に感染させてしまうこともありますので男性も接種や検査をお願いいたします。
感染したタイミングが妊娠の初期であればあるほど、先天性風しん症候群を起こす可能性が高くなります。4~6週目で100%、7~12週目で80%、13~16週目で45~50%と、かなりの確率での発症が確認されています。その後は、17~20週目で6%、20週目以降では0%と数値が落ち着きます。このことからも、妊娠初期に風しんにかからないことが、お腹の赤ちゃんの健康のためにどれほど大切かということが分かりますね。
風しんの予防法
妊娠中は、風しんの予防接種を受けることができません。そのため、妊娠前にワクチンを接種し、風しんウイルスに対する抗体を獲得しておきましょう。
また、パートナーとなる男性も、同時期かそれより早く予防接種を受けておきましょう。パートナーである女性の風しん感染、そしてそのお腹のあかちゃんの先天性風しん症候群のリスクを下げるためには、家族揃っての予防接種が大切になります。
しかし、日常生活において、他の男性、または女性が、お母さんに感染させてしまう可能性も十分考えられます。社会的な意義として考えるならば、性別を問わず、誰もが風しんの予防接種を受け、未来の子どもたちの健康を守ることが重要と言えるでしょう。
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男性の方へ
ある調査によると、20代男性の約1割、30~50代男性の約2割が、風しんに対する抗体を持っていないことが分かっています。 また、「子どもの頃に風しんにかかったから大丈夫」と考えている方のうちの約半数が、なんらかの記憶違いによって、実際には風しんにかかっていないということも、血液検査の結果から明らかになりました。 抗体の有無は、血液検査によって確認できます。確かな情報がない限りは、一度ご確認されることをおすすめします。
当院でも、風しん抗体検査を実施しております。 -
妊婦の方へ
妊娠中の方は、抗体検査にて風しんへの免疫力がない・低いと判明した場合にも、風しんワクチンの接種の予防接種を受けることができません。
予防のためには、以下のポイントが重要になります。
・風しんにかかっている人との接触を回避する
・風しんの予防接種を受けていない家族がいる場合には、早急にその接種を受けてもらう
風しんワクチン予防接種について
風しん予防のためには、ワクチンの接種がもっとも有効と言えます。
ワクチンの接種により、95%以上の高確率で免疫を獲得することができます。1回目の接種で十分な免疫を獲得できなかった場合も、2回目の接種で多くの場合、免疫の獲得が可能です。
副反応(副作用)について
- 1回目のワクチン接種後、2週間以内(特に1週間前後)に、約13%のケースで発熱が見られます。その他、発疹、蕁麻疹などの副反応も確認されています。0.3%と頻度は少ないものの、発熱に伴うけいれんを伴うこともあります。
- 2回目のワクチン接種後は、接種部位の局所的な反応が見られることがあります。一方で1回目に見られた発熱・発疹の副反応はほとんどありません。ごく稀なケースとしては、脳炎・脳症が挙げられます(100万~150万人に1人以下)。
※神戸市では対象となる方に風しんワクチン接種費用の一部助成を行っています。
妊娠が分かってからは予防接種ができないので、家に妊婦さんがいる方も全く妊婦さんとは縁がない方も予防接種を受けてこなかった20歳以上の男性と20~35歳の女性はとくにぜひ検査か予防接種を受けてください
風しんQ&A
妊娠の予定があります。風しんが心配なのですが、何か対策はありますか?
妊娠している可能性があるなら接種できません。心配なら抗体検査(自費で3,500円)を受けてみるのも良いでしょう。ご主人には予防接種を受けてもらいましょう。
妊婦健診で、風しんの抗体検査を受けました。抗体価が低いと言われたのですが、どうすればよいでしょうか?
妊娠中は予防接種ができませんので、出産後できるだけ早い時期にワクチンを受けにいきましょう。
抗体検査を希望しています。こちらでも受けられますか?また、費用はかかりますか?
はい。できます。3,500円です。
親子三人で、海外旅行を予定しています。子ども以外、風しんの予防接種を受けていません。どんなリスクが考えられますか?
当然、風しんにかかる可能性がありますが、日本でかかって外国で発症する可能性もあります。ぜひ、予防接種をしてから出国してください。その時は麻しんも受けてください。
成人男性です。親の話によると、私は子どもの頃に風しんにかかっているそうです。予防接種は必要ありませんか?
風しんの診断は非常に難しく、症状だけで断定できません。自費で抗体検査をおすすめします。
どんな人が風しんの予防接種を受けるべきなのでしょうか?
特に妊娠を望む女性ですが、パートナーとなる男性も受けるべきです。
単独の風しんワクチンではなく、MRワクチンを接種しても効果に違いはありませんか?
はい。効果は違いなく、おまけに麻しんの交代もできるのでMRワクチンをおすすめします。なお、単独風しんワクチンはほどんど流通していません。
2、B型肝炎
B型肝炎とはどんな病気?
B型肝炎ウイルスの感染により発症する、肝臓の病気です。
一過性の感染ではなく、感染が持続してしまうと、慢性肝炎へと進展しまうことがあります。さらに悪化すると、肝硬変、肝がんのリスクが高まります。
B型肝炎の感染経路と赤ちゃん・子どもへの影響
なんとなく大人の感染症とか輸血で感染するというイメージをもっている方が多いのではないでしょうか。実は違います。赤ちゃんや子どもも感染します。特に5歳未満の子どもが感染するとキャリア化ほぼ100%。つまりウイルスは一生消えません。そして数10年かけて徐々に慢性肝炎、肝硬変、肝がんに進んでいく場合があります。
多くの感染者がどこで感染したかわからないようです。もしかしたら、お父さん、近所のおじさん、保育園や幼稚園のお友達から感染してしまう可能性もあります。いろんなところにウイルスがいて感染しやすいから、日本だけで100万人もの人がこのウイルスをもっているんです。
※赤ちゃんへのB型肝炎予防接種は平成28年10月1日より定期予防接種の対象となっています。詳しくは神戸市ホームページをご確認ください。
肝炎ウイルス検査について
お父さん、B型肝炎に感染していないと言いきれますか?
もし、感染してたら、赤ちゃんに移してしまいます。妊婦さんは妊娠した時に検査したりしますが、お父さんや出産して年月が経つ女性は検査する機会がありません。
※神戸市では、肝炎検査を無料で受けられるようにしています。詳しくはこちら。
当院でも無料で検査できます。ぜひご自身が肝炎にかかっていないか調べてみてください。
3、ヘリコバクターピロリ菌
聞いたことある人も多いのではないでしょうか。よく健康番組でピロリ菌は胃がんの原因菌で除菌したら胃がんにならないとか、胃炎がすっきりするとか放送していますね。それです。 え?でもなんで赤ちゃんに関係あるの?と疑問に思いますよね。 実はピロリ菌はほとんどが5歳までにお母さんやお父さんから感染しているんです。
年々ピロリ菌感染は減っていますが、それは水道水などがきれいになったからと言われています。親から口移しなどで食べ物あげると感染してしまいます。ご家族に胃炎や胃がんの方がいたりご自身が胃腸に不安がある方で、今まで胃カメラもピロリ菌検査もしたことがない方は、一度ご相談に来てください。