病気のこと

2017.07.24

鶏卵アレルギー発症予防に関する提言について

先日の7月22日は、クリニックを休診にして、ご不便をおかけして申し訳ありませんでした。

院長とスタッフ2名の、合わせて3人で、滋賀県大津市で開催された小児難治喘息・アレルギー疾患学会に行って参りました。

この学会は、医師向けの講演だけでは無く、看護師さん向けの講演もあって、大変有意義な時間を過ごしてきました。

ここで学んだことを、これからの診療に生かせるようにスタッフ一同していきたいと思います。

さて、表題にあります「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」が、6月に小児アレルギー学会から出されました。これについて、みなさまにお知らせしようと思っていましたが、なかなかブログを書く時間がなく、今回行ってきた学会でも大きく取り上げられていましたので、本日書きます。

まず、鶏卵アレルギー発症予防に関する提言をまとめると、

  • アトピー性皮膚炎(痒みのある乳児湿疹も含む)にかかった赤ちゃんに、鶏卵アレルギー発症予防を目的にして、医師の管理のもと、生後6ヶ月から鶏卵摂取を微量から開始することを推奨する。
  • 摂取する前に、アトピー性皮膚炎を治しておくことが望ましい。
  • アレルギー専門医の診療を受けることを推奨する。
  • あくまで発症予防のためであり、すでに鶏卵アレルギーを発症している赤ちゃんは、別の対応が必要。

ということです。

わかりやすく書くと、かゆい乳児湿疹やアトピー性皮膚炎がある赤ちゃんは、アレルギー専門医に行って、それをしっかり治してから、生後6ヶ月の早い時期から微量の卵白を食べると、卵アレルギーがだいぶ予防できます。ということです。

どの程度予防できるかというと、1歳まで除去し続けた赤ちゃんのうち37.7%が卵アレルギーになったのに比べて、生後6ヶ月から微量の卵白を食べた赤ちゃんは8.3%しか卵アレルギーになりませんでした。

ここでポイントをいくつか挙げます。

  • 湿疹が出たら、早くしっかり治すことが重要です。早く治さないと、皮膚からたくさん卵などのアレルギー物質が体に入り、治りにくくなります。
  • この提言は、「予防」であって、「治療」ではない。つまり、これをすれば卵アレルギーが治るわけではないし、卵アレルギーを持っている赤ちゃんがこれをすると危険なこともある。

今、生後2-3ヶ月でお顔に少し湿疹がある赤ちゃんがいるお父さん、お母さん、もしこの話をもう少し聞いてみたいなと思われたら、クリニックにご相談に来て下さい。今から卵アレルギーの予防にできることはありますよ。

2016.09.20

色の区別がつきにくいってありませんか?

生まれつき、色の区別がつきにくい、誤認しやすいなどの症状を持つ人がいます。「先天色覚異常」と言います。

例えば、

  • 黒板に赤いチョークの文字が読みにくい
  • 黒板の色は、黒だと思う(本当は緑色)
  • 緑色のトマトを、熟したトマトだと思う
  • 桜の花びらを、白色という
  • お肉がまだ赤いのに、焼けたと思う
  • リトマス試験紙で色が変わったことがわからない

などの症状に心当たりのある方はおられますか?人によって、区別しにくい色はまちまちです。

この異常はほとんど男性に起こり、約5%にみられます。つまりクラスに1人程度はいるという計算です。

平成14年3月に学校保健法の改正でそれまで必須だった色覚検査が削除され、以降学校でほとんど行われなくなりました。

ちょうどその頃小学生だった人が、今社会に飛び立つ年齢になりました。現在、多くの小中高生が自分の色覚の特性を知ることなく、進学就職に向き合っている現実があると知りました。

色覚異常は病気ではありませんし、これによって差別されるということはもっての外です。しかし、色覚異常に気付かず過ごし、人と比べることができないので、こんなもんだと思い歳を重ね、いざ仕事についたときにわかり、挫折するという困難も受けるべきではないと思います。

例えば、美容師になろうとしているがヘアカラーの色の違いがわからない、鉄道や航空会社を目指して勉強していたが、就職直前に色覚異常であることを知ったなどの事例が挙げられています。

最近、学校保健の規則で、色覚異常のことを保護者に周知させ、教職員は正確な知識を持ち生徒が不利益を受けることがないようにするような改定がなされました。

色覚異常があっても、悪化することはありませんし、自分で間違いやすい色を知っておくと、工夫ができほぼ普通に生活ができますので、心配はいりません。

もし、気になる症状があれば、眼科または当院までご相談ください。

2015.11.03

世界糖尿病デー

14日は世界糖尿病デーです。
乳がんはピンクですが、こちらのイメージカラーはブルーで、各地の観光スポット等がブルーにライトアップされています。

糖尿病には生活習慣ではなく、自己免疫疾患の1型と、生活習慣でなる2型があります。こどもに多いのは1型糖尿病です。突然発症して血糖値が非常に高くなり、意識障害なども起こすこともあります。

人間の体の進化は文明の進化のスピードについていけません。
人類の歴史では飢餓の時代がほとんどで、体は飢餓に備えて栄養を溜め込もうとする性質があります。
飽食と言われる現代の食生活に対応出来るようにはまだ進化していないのです。
今後、進化するかどうかもわかりませんが。

甘いものといえば果物くらいだったのでしょうが、僕たちが食べている品種改良されたものとは違って、糖度も低く渋味や酸味も強かったでしょう。
野菜もそうですよね。最近は甘い=美味しいとなっているようで、昔のような青くさい、野菜らしい野菜が減っている気がします。
人参やピーマン嫌いの子どもが減ったのは、そのせいではないかと個人的には思います。
好き嫌いがなくなるのは良いことなんですけれども。。。

糖尿病、平安時代の貴族もなっていたようで、やたらと水を飲むから飲水病と言われていました。

江戸時代、庶民が白米を食べられるようになって流行った脚気もそうですが、やはり粗食は体に良いようです。

しかし食事は、体の栄養摂取だけのためにあるわけではありません。
頑張った自分に御褒美もあります。家族や友達との食事は安らぎや楽しみやコミュニケーションなどの役割もあります。
仕事の後の一杯やスイーツは格別ですよね。
あれもだめ、これもだめ…とならないように少しの我慢や意識で糖尿病にならないよう気を付けましょう。

そして今現在、糖尿病にかかっている方、症状に苦しみ、食事制限のストレスにさらされ本当に辛いと思います。
大変だとは思いますが、医師の指導にしたがって、この病気が解明され、治療法や薬が開発される日がくるまで頑張って欲しいです

2015.04.23

おねしょについて

「おねしょ」の治療って聞くとみなさんどういうふうに感じますか?

  • おねしょなんてほっといたら治るでしょ
  • 何歳までおねしょっていうの?
  • おねしょが気になるんだけど、病院で相談することなの?

そういう声がよく聞かれます。私の答えはこうです。

  • おねしょはほとんど自然に治ります。でも、小学校に入っても月に数回あったら、子どももつらいしお母さんもお洗濯大変でしょう?ちょっとした注意で早く治るかもしれませんよ。
  • だいたい小学校に入るまでのおもらしを「おねしょ」と言って自然に様子見ることも多いです。けど、小学校に入っても月に数回おもらしがあったら「夜尿症」という病気としてみてあげた方がいいですね。
  • 病院では、まず内臓の病気のせいでおねしょが長引いてないのかどうかを調べます。当院では、まず問診、診察、尿検査、超音波検査など、子どもに負担のない検査で大きな病気がないか調べます。

もう少し詳しくご説明します。

どれくらい夜尿症の人がいるの?

小学校1年生の約10%、小学校5年生の約5%にみられます。自然学校や修学旅行の時に心配になることも珍しくありません。

どうして夜尿症っておきるの?

大きく分けて二つ理由があり、一つは膀胱に貯められる尿量が少ないこと、もう一つは夜間作られる尿の量が多いことが挙げられます。そしてその二つが混合して起こることもあります。

治療したほうがいいの?

夜尿症が長引くと自尊心が低下して、自分に自信がなくなり学業などに悪影響があるという報告もあります。その悪影響は年齢が高いほど受けやすいといわれています。治療することによって、治癒率が1年で50%、2年で70%、3年で80%と様子見る場合と比べて高くなり、早く治療したほうが早く治るデータがあります。

治療って何をするのですか?

まずは、水分の摂り方やおねしょした時の対応の仕方などの生活を一緒に考えます。
それでも改善しなければ、尿を減らす作用のあるお薬またはアラーム療法を行うことがあります。
根気よく半年くらい続けてみます。よくなれば、しばらく治療を続けていきます。
良くならなければほかの治療と組み合わせたりしてみます。

アラーム療法って何?

お薬を使わない治療です。おしっこが出るとアラームが鳴るセンサーをパンツに着けて寝て、夜尿が起きると目を覚ますようにします。それを毎日続けることによって、膀胱に貯められる量が増えると言われており、それだけで治ることが期待できます。家族も一緒に起きますので、家族全員の協力が必要ですが、有効性が高い治療です。なお、アラームは保険が効かず自費での購入(約7,200円)になります。

夜尿症でお悩みのみなさま

おしっこのことで親にも打ち明けられない子どももいます。ましてや病院に受診しようなんてなかなか勇気が要りますよね。誰かに見つかったら恥ずかしいとかもあるかもしれません。当院では、どの時間帯に相談に来ていただいても構いません。私もスタッフも秘密は守ります。悩んで治るのが遅れるより、早く相談してほしいと思います。

分かりやすいおねしょに関するサイトをご紹介します。当院も相談できる医療機関に登録されています。

http://onesho.com/patient/