アトピー性皮膚炎とは?
アトピー性皮膚炎は、2・3か月の赤ちゃんからお年寄りまで発症します。その中でも、赤ちゃんの時期に発症するものが最も多いですが、適切に治療すれば治るのも早いことが多いです。逆に成人になって発症した場合は、原因が複雑であることもあり治りにくいことが多いです。
2・3か月の赤ちゃんの時期は、アトピー性皮膚炎に似た乳児湿疹や乾燥肌、脂漏性湿疹等のこともありますので、悩まず一度受診してください。
アトピー性皮膚炎の原因
アトピー性皮膚炎は、「体質的なリスク要因」と「環境的なリスク要因」が重なったとき発症するものと考えられています。
「体質的なリスク要因」とは、もともとのアトピーになりやすい体質、皮膚のバリア機能の低下などのことを指します。
対して「環境的なリスク要因」には、アレルゲンとの接触、外部からの刺激(衣類との摩擦、乾燥など)を指します。
またこれ以外にも、精神的要因なども関係している、という指摘もあります。このように、アトピー性皮膚炎は、さまざまなリスクが複雑に絡み合って発症します。
アトピー性皮膚炎の症状
- 赤みのある湿疹
- ブツブツした湿疹
- 水分の多い湿疹
- ゴツゴツ、ゴワゴワした湿疹
- かさぶた
- 以上の症状に伴うかゆみ
特に症状が現れやすいのは、顔、耳、首回り、腋の下、肘や膝の関節の裏、腿の付け根などです。つい手で触ってしまう部位、擦れたり、汗が溜まりやすい部位に多く生じます。
生後6か月で湿疹があると食物アレルギーがある確率が10倍に!?
最近の研究で、6か月ころの赤ちゃんに湿疹があったら1歳や3歳の時に食物アレルギーを持っている確率が、湿疹がない赤ちゃんに比べると10倍以上あることが分かりました。また、1歳の子どもに湿疹があった場合に3歳の時に食物アレルギーがある確率が1.9倍になります。つまり、湿疹は赤ちゃんのうちに早く治療をしないといけないということです。そうしないと湿疹が原因で食物アレルギーを発症してしまうかもしれません(これを難しい言葉で経皮感作といいます)。
湿疹が出るからと食事の除去を自己判断しないようにしましょう
湿疹があったら食事を除去しないといけないと思っている方がおられますが、一概にそうとは言えません。また、血液検査で食べ物のアレルギー検査が陽性となり食事を除去している方もおられますが、これも正しくはないです。
除去すべきかどうかは、他にも色々な状況をお聞きして決めていきますので、ご家族の判断で子どもにとって大切な食事(栄養)の除去はしないでほしいと思います。
アトピー性皮膚炎の治療
治療の三本柱は、
- 原因の除去
- スキンケア
- 薬物療法(ステロイド軟膏やプロトピック軟膏も含む)
と考えております。
特にスキンケアを上手に行うだけで皮膚の状態がかなり良くなることも多くあります。
- ステロイド軟膏治療は、副作用をはじめ皆さま気にされるところと思います。しかし、基本的に必要なところに適した強さのものを塗り、スキンケアをしっかりしていただくと、副作用もほとんど起こりません。専門医がしっかり管理しながら使用するとステロイド軟膏にほとんど副作用などの危険はないと考えています。逆に処方されているのに全然使用しなくて湿疹が悪化したり、漫然とだらだらと塗り続けることがかえって良くないと考えています。
- ぬり薬の治療は飲み薬と違って、使用するお薬の量、種類を決めるのは患者さん本人(家族)です。これは、簡単なことではありません。私はぬり薬こそ処方しっぱなしにせず、毎回どういう風に塗ったかなどを患者さんからお聞きしながら、患者さん(家族)がもっともよい治療者になるようにサポートしていきたいと考えています。
- ぬり方のコツがわかるまで、できるだけ受診の回数を多くしていただいております。初めのほうは通院が大変だと思いますが、塗り方のコツがわかればだんだん受診の間隔はあいてきますので、ご安心ください。
詳しくはその人その人によって対処法や治療法を個別にお話しさせていただきますので、一度受診をお勧めいたします。
アトピー性皮膚炎Q&A
アトピー性皮膚炎の飲み薬はどのようなものがありますか?
主に抗ヒスタミン薬といわれるものを使用します。かゆみを抑えるのが目的になります。種類が多く、効果や副作用(眠気、鎮静作用)、飲む回数などに差があるので、症状などによって使い分けをしています。
アトピー性皮膚炎でステロイドを使用する場合、副作用を出さないようにするにはどうすればいいのでしょうか?
まず、意外かもしれませんが、医師の説明通り塗っていれば、ステロイド軟膏の副作用はほとんど起こりません。長期的に塗った場合、ニキビができやすくなったり、皮膚が薄くなり赤く見えるようになることがありますが、定期的に通院している場合はほとんどみられません。
ステロイドを使うと手放せなくなるというイメージがあるのですが…
そう思われている人は多いと思いますが、ステロイドを使ったから手放せなくなる訳ではありません。使い方が不十分で治りきらないのに中止してしまったりした場合はステロイドが手放せなくなることがあります。正しく使えば通常問題ありません。
アトピー性皮膚炎はストレスも要因として関係あるのでしょうか?
はい。特に思春期移行でストレスにより治りにくくなる場合があります。心のケアも重要だと考えています。
ステロイドを塗っていてもかゆみが軽減されないのですが、使い方によって症状が悪化することがあるのでしょうか?
はい。間違った使い方をすると悪化することがあります。